月別アーカイブ: 2019年11月

ジェレミー・クラパン監督のアニメ映画『J’ai perdu mon corps』

ジェレミー・クラパン監督のアニメ映画『J’ai perdu mon corps』(邦題:失くした体)を見ました。今年のアヌシーの国際アニメ映画祭でグランプリをとった作品だそうです。予告編で、手が歩いている映像を見ておもしろそうだな、と思ったので、映画館に行ってみました。

“J’ai perdu mon corps” Jérémy Clapin

切断された手が、研究所から脱走して色々なところを旅するんですが、手の目線からみた映像が面白くて綺麗でした。ハエやネズミの描写は気持ち悪くて、グロテスクな場面も結構ありましたが、その分、余計に綺麗なシーンが際立って音楽もよかったです!
主人公のナウフェルの子ども時代と今がシンクロして進んで、ガブリエルとの恋もあって、ストーリーもなかなか楽しめました。

cf.
予告編:『J’ai perdu mon corps』
日本語の記事:シネマトゥディ 『失くした体』予告編

気持ちのよい曲:Ludovico Einaudi 『Fly』

ラジオ聞いてたら、気持ちのよい曲が流れてきました。なんか昔聞いたことある感じ、と思ったら、前に見た映画「Intouchables (最強のふたり)」でも使われていたイタリア人のミュージシャン、ルドヴィコ・エイナウディ(Ludovico Einaudi) の『Fly』という曲でした。ピアノの音は落ち着くなぁ。北極海でピアノを演奏しているこの映像もすごいです。

cf.
Ludovico Einaudi – Fly (The Intouchables)
Ludovico Einaudi – “Elegy for the Arctic” – Official Live (Greenpeace)

チリの映画『LA CORDILLÈRE DES SONGES』

この前『LA CORDILLÈRE DES SONGES』というチリのドキュメンタリー映画を見ました。監督のパトリシオ・グスマンは、南米チリのサンチアゴ生まれですが、チリのクーデターの際に逮捕され、その後キューバに亡命。その後はスペインやフランスに滞在して映画の制作を続けています。

la cordillère des songes

この映画の中には、たくさんの人のインタビュー映像が出てきました。チリからフランスに亡命して、パリでアンデス山脈を描き続けているアーティスト、チリにとどまってカメラを回し続けている報道カメラマン、チリの一般の住民など。1973年のチリ・クーデターの後にピノチェ政権は独裁政治を行って、たくさんの犠牲者を出しました。インタビューの合間には、とても雄大で綺麗なアンデス山脈の映像が挿入されてるんですが、山の映像が綺麗なだけに、ピノチェ時代の残酷な暴力の映像が一層ひどく感じられました。(正直、この映画を見るまで、チリの政治のことはあまり知らなかったんですが。。。)
チリの町は徐々に再建されて近代化されて綺麗になっていますが、町を俯瞰で撮ると、町の片隅に残っている廃墟のような場所がはっきりと映って、切ない気持ちになりました。

この映画はスペイン語で、フランス語字幕だったので、たぶん内容は半分も理解できてないと思いますが、映像が綺麗でチリのことも少し知ることができたので、見て良かったです。スペイン語とフランス語は同じラテン語起源の言語なので、本当に良く似ています。スペイン語の音は、フランス語と比べると何となく庶民的で親しみやすく心地よくて、発音もはっきりしているので、滑舌の悪い私にも発音しやすそうだな。いつかスペインや南米に旅行する時のために、スペイン語もやってみようかな!

cf.
映画 『LA CORDILLÈRE DES SONGES』 予告編
Cordillère_des_Andes(アンデス山脈)
BASIC CONVERSATIONAL PHRASES IN SPANISH for beginners (スペイン語会話のおもしろい動画)

日本語のアトリエ@図書館

先週の金曜日に、市の図書館で日本語のアトリエをしました。
アトリエで使えるような何かいい絵本はないかなぁ、と探していたときに、和田誠さんの「ぬすまれた月」という絵本をみつけてとてもいいと思ったので、今回はこれを使うことにしました。アトリエでは、まず絵本を一緒に読んでから、本の内容に関することなど、自由に会話しました。

私は、詩人の谷川俊太郎さんや作家の星新一さんが好きで、和田誠さんのイラストは彼らの作品の表紙にもよく使われていたので何度も見たことはあったんですが、和田誠さん自身については、そんなによく知りませんでした。和田誠さんが今年の10月7日にお亡くなりになったというニュースをみて、改めて和田誠さんってどんな人なんだろ?と探していたときに、「ぬすまれた月」という本に出会いました。

この絵本では、イラストだけでなく、文章も和田誠さんが書いているということで、面白そうだな、と思って読んでみたら、すごくよかった!内容が深くて、子どもだけでなく大人も楽しめる感じです。月が大好きな男が毎日月を眺めて楽しんでいるところから始まるこのお話。展開が面白くて、月の満ち欠けや日食、月食、潮の満ち引きなど、関する科学的な内容もところどころに挿入されててイラストもかわいくて、素敵でした~。参加者の方々も、気に入ってくれたようです!


次回のアトリエは、12月20日(金)の18時からの予定です。絵本等の作品は、日本語とフランス語の両方で読んで、会話も日本語とフランス語まぜてしますので、日本語が全然わからなくても大丈夫です。興味のある方は、ぜひいらしてくださいね!

cf.
Wada Makoto
Bibliothèque municipale internationale

Rencontres Ciné Montagne

先週(11/5-11/9)はGrenoble Palais des Sports でRencontres Ciné Montagne という山の映画祭がありました。私は最終日の土曜日(11/9)に見にいってきました。広い会場は満員で、すごい熱気でした!

会場で:
会場に入ってうろうろしながら、ふと前をみるとトレイルランナーのFrançois D’Haeneがすぐ近く(半径1メートル以内ぐらい)にいました。落ち着いたオーラで、とっても大きかった!同じ空気を共有でき満足!
このイベントの司会は、ジャーナリストのThibault Leducとトレイルランナー/スカイランナーのHillary Gerardiでした。アメリカ人の彼女はグルノーブルに住んでいたことがあり、今はシャモニーに住んでいるそうです。ハキハキしゃべってとても感じが良かったです。動画を見たら、走りもすごい!

シルヴァン・テッソンという人:
会場には、スポンサーのブースや、山や旅に関する本や写真のコーナーなど色々あったので、映画が始まる前にあたりをブラブラ。友人がシルヴァン・テッソン(Sylvain Tesson)という作家のことを教えてくれて、面白そうだったので、彼の本を1冊買ってみました。シルヴァン・テッソンは、地理学者で冒険家で作家の彼は、フランスではとても人気だそうです。全然知らなかった~。

ヒマラヤ(ブータンからタジキスタンまで5000km)を5か月かけて旅したり、極寒のシベリアで6か月間も1人で暮らしたりと、やることがすごいです。彼はパリ生まれで、ノートルダムにもよくよじ登っていたそうです。(高いところは景色が綺麗なので、高いところが大好きだそう。)
色々な本があって迷いましたが、彼の本を1冊買ってみました。

「Sur les chemins noirs」(直訳すると、「黒い道で」)というこの本は、シルヴァン・テッソンが2015年の夏から秋にかけてフランスを徒歩で縦断した時のお話です。世界中を旅している彼ですが、転落事故のあと動けなくなり病院で過ごします。リハビリのために病院の中を歩くようにお医者さんに言われましたが、それなら自然の中を歩いた方がいい!フランスを徒歩で縦断しよう!と思いつき、あえて都市化されてないない誰も行かないような村や、草が生い茂っているような荒れ地を通るルートを選んで歩いたとのこと。考えることがすごい!まだ読み始めたばかりですが、ゆっくり読み進めたいと思います!
シルヴァン・テッソンの動画をみつけました。怖くてちょっと近寄りがたいおじさんです。

映画:
この日上映されたのは、トレイル、山スキー、登山、パラグライダー、ハイラインなど色んなジャンルの6つの映画。映画の詳細はこちら。(仏語です。)

  1. L’Echappée Belle」:ウルトラトレイル(Belledonne avec François D’Haene)
  2. Un Printemps suspendu」:山スキー(マッターホルン、モンブラン、アイガー)
  3. Fly the Alps」:登山とパラグライダー(スロベニアからモナコまで7つの国を横断)
  4. CHANGABANG – Les miroirs d’une répétition」:山岳部隊のヒマラヤ登山訓練
  5. Red Lake party」:ハイライン/スラックラインとバンジージャンプ(クロアチアのRed Lake)
  6. Mbuzi Dume」:片足(松葉づえ)でキリマンジャロ登頂

上映前には、会場の天井から、山岳救助隊の人が降りてきて、怪我した少年を助けるというパフォーマンスもありました。それから、山岳救助隊の人の話があって、「山はワクワクする冒険のフィールドだけど、同時に危険な場所です。死がとても近くにあります。亡くなった方のことを祈りましょう。」と、会場にいるみんなで起立して山で亡くなった方を思って祈りをささげる時間がありました。映画の上映前に、こういう時間をとるのは、とてもいいなぁ。

続きを読む