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アイスランドとフランスとウクライナの映画『たちあがる女』(原題:Kona fer í stríð )

『たちあがる女』(原題:Kona fer í stríð )という映画をみました。アイスランド人のベネディクト・エルリングソン(Benedikt Erlingsson)監督によるアイスランドとフランスとウクライナの合作で、2018 年に公開された映画です。

主人公の女性ハットラは聖歌隊の講師。一見おだやかそうな女性ですが、実は警察から追われる身で、アイスランド中を逃げて逃げて逃げまくっています。というのも、地元のアイスランドの美しい景色が失わていくことや環境破壊に抵抗するため、彼女は大企業の送電線を次々に破壊しているから。とにかく、この映画は映像と音楽が最高!画面に映るアイスランドの景色がとてもきれいで、音楽も絶妙なタイミングで映像と合うところで挿入されていて面白く、内容が多少分からなくても、楽しくて大満足でした!!ハットラの弓矢、エメラルドグリーンの車、送電線にビリビリ電気が流れて光るところ、靄のかかったアイスランドの風景、雨でびしょびしょのホテル、バスなどは特に印象に残りました。いつかアイスランドの大自然の中を歩いてみたいなー。

cf.
ARTE 『Woman at war』(フランス語字幕版なら7月21日まではARTEで見られるので、興味のある方はぜひ見てみてください~。)
『たちあがる女』日本語版の予告編 (これだけでも、映画の雰囲気がよく分かります。)

SABU監督の映画『Mr.Long ミスター・ロン』

Arte で、SABU監督の映画『Mr.Long ミスター・ロン』をやっていたので、見てみました。

この映画は2017年の映画で、ベルリン国際映画祭コンペティション部門にも出品されたのだそう。実は私とSABU監督との出会いは古くて、たしか高校生の時に『弾丸ランナー』(1996)を見たのが最初だと思う。疾走感がすごくて、話の展開や、映像の見せ方、音楽が面白くて、おおぉー!こんな監督がいるんだぁ!!と感動したことを思い出しました。それ以来、『ポストマン・ブルース』(1997)、『アンラッキー・モンキー』(1998)などまでは見てましたが、最近は忘れかけていて今回ネットで偶然SABU監督の映画を見つけたので、さっそく見てみたというわけ。

この映画の主人公は殺し屋で、殺人のシーンがたくさんあってちょっと嫌でしたが、やっぱりSABU監督の映画は好きだなぁ。殺し屋にとってナイフは殺人の道具ですが、彼は料理も上手なので、包丁をたくみに使って色々な料理を作り、その料理がきっかけで回りの人たちとの交流が生まれていきます。ナイフも包丁も両方切る道具だけど、不幸のきっかけになったり、一方で幸せをうむきっかけになったり。殺し屋の中にある人間的な部分、人の強さ、弱さについてしみじみと考えさせられます。特に野球のシーンは、じんわりとあたたかくて涙がでそうでした。子役のジュンは、本当にかわいい。スピード感、画面の見せ方、間のとり方の上手さはパワーアップして健在でした!

この映画、8月29日までネット上で見られるようになっています。暴力や殺人のシーンが多いので、子どもや敏感な方にはおすすめしません。そういうアドバイスが以下のサイトにも書いてありますが、[poursuivre](つづける)のボタンを押すと映画本編が見られるので、興味のある方はぜひ。最初の設定はフランス語版になってますが、吹き出しをクリックすると原作(日本語版)に変更できます。

ARTE :  SABU監督の映画『Mr.Long ミスター・ロン』
Dangan Runner (弾丸ランナー)
Postman Bleus(ポストマン・ブルース)
Unlucky Monkey (アンラッキー・モンキー)

門田隆将さんの本、「死の淵を見た男-吉田昌郎と福島第一原発-」

ジャーナリストでノンフィクション作家の門田隆将さんの本、「死の淵を見た男-吉田昌郎と福島第一原発-」を読みました。2011年3月11日に東日本大震災が起きたとき、福島の原発で起きていたことが書かれている本です。事実に基づいた内容で難しい専門用語はなく、専門家でない私でもとても読みやすく、一気に読んでしまいました。現場の人たちの思いやその背景も丁寧に書かれていて、今まで知らなかったあの時の現場の人たちの気持ちや行動を知ることができました。緊迫した状況の中で、一番大切なものは何なのかを瞬時に判断して、冷静に勇敢に対応した吉田所長にはとても感動しました。そして、吉田所長をはじめ、現場で最後まであきらめずにたたかってくれた人たちに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

あの時、私は福島から大分はなれた東京(新宿)の会社にいたけれど、棚から本がバサバサ落ちたり、コピー機が飛んだりと、今まで経験したことのないくらいの長くて大きな揺れでした。電車がとまっているので何時間も歩いて家に帰ったこと、道路を歩く人の行列がなんだか戦時中みたいで怖いなと感じたこと、その後次々と起こる予想を超える事態に、日本はもうだめになってしまうのかな、普通に息をしたり走ったりするのもできなくなってしまうのかと不安に思ったこと、現実味が持てなくて、自分が映画の中にいるようだなと思ったこと、色々な情報が飛び交って何を信じていいかわからないので何とかして本当のことを知ろうとしたことなど、この本を読みながらあの時の記憶がよみがえってきました。

日本では、3月6日(金)に、この本を原作とした映画「Fukushima50」が公開されたそうです。本を読んだあと、この映画の予告編も見たら、また涙が出そうになりました。

幸いにも、彼らのおかげで最悪の事態は免れたけど、この事故で多くの方が亡くなった。原発の廃炉や汚染水処理はまだまだ終わっていなくて、今後も膨大な時間とお金がかかる。人間は、本当に途方もないものを作ってしまった。。。

アルジェリアの映画「143 rue du désert」


アルジェリア人のHassen Ferhani監督の「143 rue du désert」(英語のタイトルは「143 sahara street」)というドキュメンタリー映画を見ました。広大なサハラ砂漠にポツンと一軒、小さな小屋がたっています。ここには、Malikaというおばあちゃんが1人で住んでいます。アルジェリアの国道1号沿にあるこの小屋(カフェ?)には、トラックの運転手や、旅行者、ツーリングの女性など、いろいろな人が立ち寄ります。
彼女は、オムレツとかパンとか簡単なものを出して、彼らと言葉を交わします。広い砂漠で、年をとってもたった一人でMalikaがこのカフェを続けているのは何でなんだろう、と不思議に思いましたが、話が進むうちに、だんだんとその理由がわかってきます。展開がゆっくりで、途中ちょっと眠くなってしまう時間もありましたが、砂漠を走るトラック、カフェの壁の色、夜、Malikaと猫などの絵になるシーンがたくさんありました。Malikaは猫をとてもかわいがっているんですが、彼女が「mimi~」と猫を呼ぶ声は愛情にあふれていて、ちょっと悲しくなるぐらいでした。
この映画は、2019年のスイスのロカルノ映画祭でConcorso Cineasti del presenteという最優秀の新人監督に与えられる賞を受賞をした作品だそう。

2006年にHassen Ferhani監督が最初に撮った短編映画「Les Baies d’Alger」(アルジェ湾)がネットにあったので見てみたら、この作品でも、カメラワークや音や音楽の使い方がとっても上手で面白かったです。

cf.
予告編 「143 rue du désert」
短編映画「Les Baies d’Alger

アフリカの映画「KETEKE」

ガーナ人のpeter sedufia監督の「KETEKE」というコメディ映画をみました。ちなみに、 [KETEKE]は、ガーナに住む民族が話す言葉、アカン語で[電車]という意味だそう。舞台は1980年代のガーナ、Atswei とBoiという若い夫婦が、電車にのりそこなってしまったので、線路沿いをあるくというお話です。Boiはひげもじゃのアフロで、Atsweiはすごいおデブで妊娠中で、ふたりが一緒にいると、見てるだけで笑えてきます。
Boiは軽そうなふくろと、musik とかいてある謎のかばん(中にはラジカセが入ってる)を持って、妊婦のAtsweiは、おおきなスーツケースをかかえて、二人でてくてく歩いたり、走ったり。
2人はずっとけんかしてるけど、実は仲良しです。最後にでてくる酔っ払いの鉄道員たちもとてもいい感じでした。つっこみどころが満載でしたが、面白くて元気になれる映画でした!
アフリカには、面白い映画があるんだな~。

cf.
予告編:「KETEKE

« L’extraordinaire voyage de Marona » de Anca Damien

Anca Damian 監督のアニメーション映画「L’extraordinaire voyage de Marona」を見てきました。映画館は子どもだらけで、私はかなり浮いてましたが、子どもにまざって満喫できました。何より、映像がきれいで、キャラクターがシュールでかわいかったです。特に軽業師のManoleは、動きが、くねくね・くるくる・ひゅるるるる~っとしてて気持ちよくて、もっとずっと見ていたかった~。建築現場で働く大男Istvanのお母さんは顔がしわしわで梅干しみたいで、かなり私のツボでした。彼女はとってもやさしくて、楽しげにクレープ焼いてくれます。(2人とも予告編にもでてくるので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいませ。)


Anca Damianはルーマニア人の女性ですが、この作品は、ベルギーのBD(まんが)作家のBrechet Evens、フランス人の作曲家Pablo Pico 、そして美術担当としてノルウェー人のGina Thorstensen、イタリア人Sarah Mazzettiと一緒に作っています。いろいろなスタイルがまざっていて、ちょっと過剰?!な気もしましたが、映像はきれいでおもしろくて、元気になれる映画でした。最後は悲しい終わり方でしたが。

cf.
「L’extraordinaire voyage de Marona」予告編 英語字幕
Anca Damian 監督へのインタビュー記事 :Voyage au cœur de l’animation avec Anca Damian

ジェレミー・クラパン監督のアニメ映画『J’ai perdu mon corps』

ジェレミー・クラパン監督のアニメ映画『J’ai perdu mon corps』(邦題:失くした体)を見ました。今年のアヌシーの国際アニメ映画祭でグランプリをとった作品だそうです。予告編で、手が歩いている映像を見ておもしろそうだな、と思ったので、映画館に行ってみました。

“J’ai perdu mon corps” Jérémy Clapin

切断された手が、研究所から脱走して色々なところを旅するんですが、手の目線からみた映像が面白くて綺麗でした。ハエやネズミの描写は気持ち悪くて、グロテスクな場面も結構ありましたが、その分、余計に綺麗なシーンが際立って音楽もよかったです!
主人公のナウフェルの子ども時代と今がシンクロして進んで、ガブリエルとの恋もあって、ストーリーもなかなか楽しめました。

cf.
予告編:『J’ai perdu mon corps』
日本語の記事:シネマトゥディ 『失くした体』予告編

チリの映画『LA CORDILLÈRE DES SONGES』

この前『LA CORDILLÈRE DES SONGES』というチリのドキュメンタリー映画を見ました。監督のパトリシオ・グスマンは、南米チリのサンチアゴ生まれですが、チリのクーデターの際に逮捕され、その後キューバに亡命。その後はスペインやフランスに滞在して映画の制作を続けています。

la cordillère des songes

この映画の中には、たくさんの人のインタビュー映像が出てきました。チリからフランスに亡命して、パリでアンデス山脈を描き続けているアーティスト、チリにとどまってカメラを回し続けている報道カメラマン、チリの一般の住民など。1973年のチリ・クーデターの後にピノチェ政権は独裁政治を行って、たくさんの犠牲者を出しました。インタビューの合間には、とても雄大で綺麗なアンデス山脈の映像が挿入されてるんですが、山の映像が綺麗なだけに、ピノチェ時代の残酷な暴力の映像が一層ひどく感じられました。(正直、この映画を見るまで、チリの政治のことはあまり知らなかったんですが。。。)
チリの町は徐々に再建されて近代化されて綺麗になっていますが、町を俯瞰で撮ると、町の片隅に残っている廃墟のような場所がはっきりと映って、切ない気持ちになりました。

この映画はスペイン語で、フランス語字幕だったので、たぶん内容は半分も理解できてないと思いますが、映像が綺麗でチリのことも少し知ることができたので、見て良かったです。スペイン語とフランス語は同じラテン語起源の言語なので、本当に良く似ています。スペイン語の音は、フランス語と比べると何となく庶民的で親しみやすく心地よくて、発音もはっきりしているので、滑舌の悪い私にも発音しやすそうだな。いつかスペインや南米に旅行する時のために、スペイン語もやってみようかな!

cf.
映画 『LA CORDILLÈRE DES SONGES』 予告編
Cordillère_des_Andes(アンデス山脈)
BASIC CONVERSATIONAL PHRASES IN SPANISH for beginners (スペイン語会話のおもしろい動画)

Rencontres Ciné Montagne

先週(11/5-11/9)はGrenoble Palais des Sports でRencontres Ciné Montagne という山の映画祭がありました。私は最終日の土曜日(11/9)に見にいってきました。広い会場は満員で、すごい熱気でした!

会場で:
会場に入ってうろうろしながら、ふと前をみるとトレイルランナーのFrançois D’Haeneがすぐ近く(半径1メートル以内ぐらい)にいました。落ち着いたオーラで、とっても大きかった!同じ空気を共有でき満足!
このイベントの司会は、ジャーナリストのThibault Leducとトレイルランナー/スカイランナーのHillary Gerardiでした。アメリカ人の彼女はグルノーブルに住んでいたことがあり、今はシャモニーに住んでいるそうです。ハキハキしゃべってとても感じが良かったです。動画を見たら、走りもすごい!

シルヴァン・テッソンという人:
会場には、スポンサーのブースや、山や旅に関する本や写真のコーナーなど色々あったので、映画が始まる前にあたりをブラブラ。友人がシルヴァン・テッソン(Sylvain Tesson)という作家のことを教えてくれて、面白そうだったので、彼の本を1冊買ってみました。シルヴァン・テッソンは、地理学者で冒険家で作家の彼は、フランスではとても人気だそうです。全然知らなかった~。

ヒマラヤ(ブータンからタジキスタンまで5000km)を5か月かけて旅したり、極寒のシベリアで6か月間も1人で暮らしたりと、やることがすごいです。彼はパリ生まれで、ノートルダムにもよくよじ登っていたそうです。(高いところは景色が綺麗なので、高いところが大好きだそう。)
色々な本があって迷いましたが、彼の本を1冊買ってみました。

「Sur les chemins noirs」(直訳すると、「黒い道で」)というこの本は、シルヴァン・テッソンが2015年の夏から秋にかけてフランスを徒歩で縦断した時のお話です。世界中を旅している彼ですが、転落事故のあと動けなくなり病院で過ごします。リハビリのために病院の中を歩くようにお医者さんに言われましたが、それなら自然の中を歩いた方がいい!フランスを徒歩で縦断しよう!と思いつき、あえて都市化されてないない誰も行かないような村や、草が生い茂っているような荒れ地を通るルートを選んで歩いたとのこと。考えることがすごい!まだ読み始めたばかりですが、ゆっくり読み進めたいと思います!
シルヴァン・テッソンの動画をみつけました。怖くてちょっと近寄りがたいおじさんです。

映画:
この日上映されたのは、トレイル、山スキー、登山、パラグライダー、ハイラインなど色んなジャンルの6つの映画。映画の詳細はこちら。(仏語です。)

  1. L’Echappée Belle」:ウルトラトレイル(Belledonne avec François D’Haene)
  2. Un Printemps suspendu」:山スキー(マッターホルン、モンブラン、アイガー)
  3. Fly the Alps」:登山とパラグライダー(スロベニアからモナコまで7つの国を横断)
  4. CHANGABANG – Les miroirs d’une répétition」:山岳部隊のヒマラヤ登山訓練
  5. Red Lake party」:ハイライン/スラックラインとバンジージャンプ(クロアチアのRed Lake)
  6. Mbuzi Dume」:片足(松葉づえ)でキリマンジャロ登頂

上映前には、会場の天井から、山岳救助隊の人が降りてきて、怪我した少年を助けるというパフォーマンスもありました。それから、山岳救助隊の人の話があって、「山はワクワクする冒険のフィールドだけど、同時に危険な場所です。死がとても近くにあります。亡くなった方のことを祈りましょう。」と、会場にいるみんなで起立して山で亡くなった方を思って祈りをささげる時間がありました。映画の上映前に、こういう時間をとるのは、とてもいいなぁ。

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韓国映画『パラサイト 半地下の家族』

今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した韓国映画『기생충』(仏:Parasite、日:パラサイト 半地下の家族)を見てきました。衝撃的な場面がたくさんで、ラストも印象的で見終わったあと、しばらく動けませんでした。Bong Joon-ho(ポン・ジュノ)監督のことは全然知らなかったし、韓国映画にも興味がなかったけど、ポン・ジュノ監督すごい!!!!!と大感激。彼の作品を、他にも見てみたい!と思いました。ポン・ジュノ監督、ただものじゃありません、すごいです。要チェックです!

最初は、いいリズム話が面白く展開していくので、軽いコメディなのかな、と思いましたが、だんだんシリアスになってきて、貧富の差や人を騙したりすることについて考えさせられる映画でした。切り札を手にしたとたんそれまでの攻防の関係が一気に逆転したり、緊迫感のあるシーンが連続したりで、2時間11分が本当にあっという間でした。笑えるシーン、目をおおいたくなるシーン、びっくりして息をするのを忘れそうなシーンなど、いろんな要素がまざっていて、音楽もよくて、役者さんたちもみんな魅力的でひきこまれました。
韓国については、あまり知らないけど、本当にこんな家族や暮らしをする人たちがいそうな感じなんだろうか、と韓国についてもっと知りたくなりました。日本での公開は、2020年の1月の予定だそうです。ぜひぜひおすすめです!!!!!

cf. 映画『パラサイト 半地下の家族』に関する日本語の記事と予告編

濱口竜介監督の恋愛映画『寝ても覚めても』

『寝ても覚めても』を見ました。
綺麗な、恋愛映画でした。主人公の女の子(朝子)の行動が理解できず、イライラする場面が多かったですが、朝子をとりまく友人たちは、とても良かったです。ラストは、なんだか希望が持てる感じでした。
見終わってしばらくしてからも色々と気になるところのでてくる映画で、よく考えてみると朝子の気持ちも少しわかるような気もしてきました。
フランス語版のタイトルは、『寝ても覚めても』ではなく、『ASAKO I&II』でしたが、チケット売り場でフランス人がアザコと言っているのに、ウケました。(フランス語だと、sa の発音は、サじゃなくてザになるんです。)
それにしても、アザコって・・・痣(笑)

cf.
予告編:濱口竜介『寝ても覚めても』
フランス版の予告編 : “ASAKO I&II” de Ryusuke Hamaguchi

映画『 Free to run 』

『 Free to run 』というドキュメンタリー映画を見ました。今は誰もが自由に走っていますが、ほんの50年前まで、ランニングは特別なアスリートだけのもので、女性はレースに出ることを禁じられていたそうです。
レースで走っている女性が、警備の人に取り押さえられそうになるシーンにビックリ!
走るのは、ただ単純に気持ちよくて楽しいことで、誰もが自由に走れるのは幸せなことだなぁ。
cf.

映画 『1001グラム ハカリしれない愛のこと』

『1001グラム ハカリしれない愛のこと』という映画を、みました。ベント・ハーメルというノルウェー人の監督の作品でした。
主人公のマリーの乗ってる青い車がとてもかわいかったです。
その他にも、作品の中には、青が色んなところに使われていて綺麗でした。
画面の見せ方が上手で、アーティスティックな監督だなーと思いました。
cf.

山の映画祭@グルノーブル

先週は、グルノーブルのPalais des Sportsで、山の映画のイベント『Les Rencontres Ciné Montagne』がありました。
私は、水曜日に行ってきました。登山、スキー、パラグライダーなど色々なジャンルの山の映画を見ることができ、よかったです。
会場には、映画に関する展示もありました。特に、素敵だったのは、山のぼりするミュージシャンの写真です。チェロやギターなどの楽器を自分たちでかついでのぼって、色々な山の上で演奏していました。その他、歴代の山の雑誌の表紙がずらっと並べて展示あったりして、おもしろかったです。
Kilian Jornetの『PATH TO EVEREST』が上映されるというので土曜日も行きたかったけれど、のんびりしていたら、チケットが売り切れてしまい、入れませんでした。。。残念!

cf.
Les Rencontres Ciné Montagne 2018
LA TOURNEE DES REFUGES(予告編:ミュージシャンの映画)
EVEREST GREEN、PATH TO EVEREST(予告編:エベレストの映画とKilian Jornetの映画)

「ボクは5才」

湯浅 憲明監督の、「ボクは5才」 (1970公開)という映画を見ました。
5才の男の子が、出稼ぎ中のお父さんに会いたい一心で、高知から大阪 まで (約400km !) を1人で無銭旅行をする話です。
5才の小さな男の子なのに、やることが大人よりずっとたくましくて、ちゃんと自分の意志があって、すごいなぁ、と尊敬してしまいました。
タバコやのおばさん役のみやこ蝶々さん、面白かったです。
作品中に出てくる、アンパン、うどんは、とっても美味しそうでした。
ラストは、感動的で、思わず涙が出てしまいました。

cf.
映画:ボクは5才 (1970公開) 
Wiki ボクは5才

Dilili à Paris

ずっと気になっていたミシェル・オスロ監督のアニメーション映画「Dilili à Paris」を、ようやく見てきました。
すごく良かったです!
映画館は、子どもたちばかりで、最初はびっくりして、大人の私も楽しめるのかなぁ、と少々不安がよぎりましたが、そんな心配は無用で、とっても楽しめました!
何より、映像がとても綺麗なんです。
パリの色々な場所が、アニメと実写で綺麗に描かれています。
ロートレック、モネ、ロダン、キュリー夫人、プルーストなども有名人も沢山でてきました。
悪人は悪人らしく、キャラクターの設定が分かりやすく、ディリリの話し方はゆっくりなので、フランス語があまり分からなくても、楽しめると思います。
悪者の基地では、驚くべきことが行われていました。衝撃の映像です。
私は、オウム真理教のことを思い出してしまいました。
詳細は、ここでは秘密にしておきます! 劇場でご覧ください。
映画の最後には、拍手が鳴りやまず、子どもたちが、ブラボーブラボーと叫んでいました。
また見たいなぁ!

cf.
予告編 : Dilili à Paris
エンディングテーマ : Le soleil et la pluie

ミシェル・オスロ監督

ミシェル・オスロ監督の新しいアニメ映画『 Dilili à Paris (パリのデリラ)』が10日に公開されました。
まだ見にいってないですが、見たら、また報告したいと思います。
私は、彼の作品が大好きです。「キリクと魔女」「アズールとアスマ―ル」「夜のとばりの物語~醒めない夢~」「プリンス&プリンセス」などの作品が有名です。綺麗なアニメーションで、おとぎ話のような独特な世界です。上の4つの作品は、映画館やDVDで見ましたが、Youtubeで見つけた「les trois inventeurs」という短編映画も、繊細で素敵でした。切り紙のアニメです。

Philippe Van Leeuw 監督の” Insyriated “

Philippe Van Leeuw 監督の” Insyriated ” という映画を見ました。
シリアの内戦を描いた映画です。
厳しい状況の中でも、楽しさをみつけて強く生きようとする姿に、心をうたれました。

内戦下のシリアでは、爆撃は日常茶飯事で、死の危険ととなり合わせで生きています。
爆撃がはじまると、みんなで家の奥の方にある台所に集まって、息をひそめて隠れるんですが、爆音が鳴りやまない中、女の子2人が寄り添って、ヘッドホンで音楽を聴きながら、鼻歌をうたっていました。
2人は、「爆撃中に音楽なんて、不謹慎な。やめなさい!」と家長の女性に怒られてしまいますが、1人の女性(ハリマ)が、2人の少女につられて、静かに体をゆすりながら、一緒に歌って、そのおかげで、少し場が和みました。

ハリマの夫が、爆撃にあってしまったとき、彼女と同居している少女が、今まで見せたことのない表情で、号泣します。
いつもは音楽を聴いて、楽しそうにふるまっていたけど、爆撃にあったハリマの夫をみて、今までの恐怖が爆発してしまった感じでした。それを見て、悲しみにくれていたハリマは、この子を守らないと、という、力強い表情にかわっていて、感動しました。

戦下でも、強く生きる人たちが素晴らしいと思う分、戦争の不条理さがいっそう際立ちました。

cf.
” Insyriated ” (English)
” Insyriated ”  (仏版 予告編)

河瀨直美監督の『二つ目の窓』

Arteで、河瀨直美監督の『二つ目の窓』(2014年公開、仏題:Still the water)を見ました。
「あん」という映画の時も感じたけど、河瀨直美監督は、景色を撮るのが上手だなぁ、と思いました。
海、ガジュマルの木が、とても綺麗でした。
ガジュマルの木は、神々しくて、いつか奄美黄島で本物を見てみたいと思いました。
カフェのシーン、家族そろって、縁側でねそべってるシーンなど、こころあたたまるシーンもたくさんありました。
感動的なシーンに、奄美の伝統的な音楽や踊りがあいまって、思わず、涙腺がゆるみました。

16歳の少年、界人はを演じているのは、歌手のUAさんの息子、村上虹郎さんです。
UAは、高校・大学生のころ、好きでよく聞いていました。特に、「情熱」「雲がちぎれる時」が好きでした。
今聞いても、とてもいいです。

 

ドキュメンタリー映画 『A voix haute  – la force de la parole – 』 (2/2)

学生たちは、みんな輝いていましたが、中でも、エディ(Eddy Moniot )は、特に目が輝いていました。
彼をみてると、話すのが本当に好きなんだなぁ、と伝わってきます。
何を言うか考えるときに、一生懸命辞書で言葉を探したり、何度も暗唱したり、すごく努力をしているけど、むしろ楽しんでるようにみえます。
どうやったら、もっとおもしろく、うまくつたわるかを、考えて、楽しんでいます。
何かを好きって思う力、楽しむ力ってすごい!と思いました。
エディはお父さんにことをとても尊敬していますが、個人的に、お父さんが部屋の中でもかぶっている赤い帽子がとっても気になりました。(予告編50秒あたりに、彼の両親が映っています。)

エルハジ Elhadj Touréは、エディとは違ったタイプですが、彼の声はとても低くて落ち着いていて、説得力がありました。(エルハジは、予告編1分あたりにでてきます。)彼がインタビューで言ったこの言葉は、印象的でした。

「これまでのことを振り返ると、もし、ちょうどいい時に、適切な言葉を言えてたら、人生をかえることができていたのになぁ、と思う。」
原文 ” Quand je retrace mon parcours, je me dis que si j’avais eu les bons mots au bon moment, j’aurais pu changer certains événements de ma vie. ”

2016年に公開されたこの映画はとても成功をおさめて、この大会は、今では、パリのサンドニの他、パリのナンテール、リモージュ、グルノーブルでも開催されているそうです。

cf.
映画の予告編 『A voix haute  – la force de la parole – 』

ドキュメンタリー映画 『A voix haute  – la force de la parole – 』 (1/2)

学生の弁論大会のドキュメンタリー映画(A voix haute  – la force de la parole – )を見ました。
すごくよかったです。
学生たちが、きらきら輝いて、エネルギーに満ち溢れていて、こちらまで元気になりました。

映画の監督(ステファン ド フレタ)は、エロカンシア:Eloquentiaというこの弁論大会の創設者でもあります。
パリ北部の郊外にあるサンドニは、治安が悪く評判のよくない地域です。彼は、弁論大会を通じて、この地域の若者たちに、自分を表現する力を身につけて、自分に自信をもってもらうおうと、2012年にパリのサンドニ大学でこのプログラムを始めました。

弁論大会の参加希望者は、準備のため6週間の研修をうけます。映画は、この研修や大会の様子、参加者へのインタビューなどで構成されています。
研修の講師陣は、弁護士、ラッパー、演出家などバラエティ豊かで、驚きました。学生たちも個性豊かでした。
クラスの雰囲気がとてもよくて、失敗しても笑い飛ばしてしまう感じで、学生たちがいきいきとそれぞれの個性を発揮して話しているのも、見ていて楽しかったです。

つづく…

フィンランドの映画『希望のかなた』

2017年に公開されたフィンランドの映画『Toivon tuolla puolen』(日本語タイトルは「希望のかなた」)をみました。
主人公のKhaledはシリアの内戦から逃れて、やっとのことでフィンランドに入りますが、難民申請を拒否されたり、難民に反対する自警団に暴力をふるわれたりします。
私にとってフィンランドというと、大自然に囲まれた福祉の充実したいい国、ムーミンの国、大好きな映画『かもめ食堂』の舞台となった国といった、いいイメージだけでした。
でも、この映画で、フィンランドの抱える移民問題のことを知りました。
ちなみに、2017年のベルリン国際映画祭で、アキカウリスマキ監督は、銀熊賞(監督賞)を受賞しています。
映画のところどころで、フィンランドのミュージシャンの演奏シーンがあり、とても素敵でした。
それにしても、主人公のシリアからの難民のKhaledを演じた Sherwan Hajiは、俳優の山田孝之さんに顔がとっても似ていました !
ホテルのレストランの売り上げが芳しくないからと、レストランを無理矢理すし屋に改装するシーンも、おもしろかったです !!

cf.
公式サイト 『希望のかなた』 監督:アキ・カウリスマキ
劇場版 ムーミン
映画:かもめ食堂 予告編

潜水服は蝶の夢を見る - Le Scaphandre et le Papillon –

『潜水服は蝶の夢を見る』を見ました。
日本にいる時に初めてみて、すごくいいなと思った映画です。
ひさしぶりに見たけど、やっぱりすごくよかったです !
ある日突然、全身麻痺になってしまったジャン・ドミニク・ボビーの実話をもとにした映画です。
言語聴覚士のアンリエットは、全身麻痺の彼と何とかコミュニケーションをとろうとして、ある方法を思いつきます。家族・友人たちも、その方法で、彼とコミュニケーションします。
映像が綺麗で、音楽もいいです。特に好きなのは、病院の廊下や海辺の場面です。
映画を見終わったあとも、しばらく、E・S・A・R・I・N・T… という声が、頭の中でぐるぐるまわっています。

予告編:『潜水服は蝶の夢を見る』

Au Cœur Des Ombres

Arte(フランスとドイツの共同出資のテレビ局)で、Au Cœur Des Ombres という短編映画をやっていました。
監督は、Monica Santos とAlice Guimaraesの2人のポルトガル人の女性です。
体に鍵をさすと引き出しがでてきたり、人が滑れるように移動したり、影が勝手に動いたり、シュールな雰囲気が気に入りました!
13分程度の短い映画なので、興味があったら、ぜひ見てみてください。
(以下、映画へのリンクです。)

cf.
Au Coeur Des Ombres

あん:Les délices de Tokyo

Arteアルテ:独仏共同出資のテレビ局)で、河瀨直美監督の映画『あん』(仏版タイトル:Les délices de Tokyo)es délices de Tokyo)が放送されていたので、見てみました。2015年の映画で、評判がよくて見たいと思っていたけど、見逃してしまったので、見られてよかったです。
桜の咲く東京の景色はとても綺麗で、丁寧に描かれた物語に心をうたれました。樹木希林、好きだなぁ。どらやきが食べたくなりました。
5月20日までネットで公開されているので、興味のある方は、ぜひ見てみてください!
日本では、彼女の最新作『Vision』(主演:ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏)が6月8日から公開されるそうです。
フランスでは、11月23日からパリのポンピドゥセンターにて、大々的な河瀬直美展が開催されるそうです。行ってみたいなぁ!
cf.

人生タクシー

テレビがないので、ネットで映画をよくみています。
この前は、Arte でやっていた、Taxi Téhéran というイラン映画をみました。
すごくよかったです。
ジャハル・パナヒ監督自らが、タクシーの運転手になって、車載のカメラで撮影しています。
個人的には、金魚鉢を抱えた2人の老婆と、監督の姪っ子ちゃんがお気に入りです。
邦題は、「人生タクシー」で、2017年の4月に公開されているようです。
Arte では、21日の水曜日まで見られます。興味のある方は、ぜひ見てみてください。

cf.
ジャハル・パナヒ『人生タクシー

そして父になる

こちらのテレビArteで、是枝監督の「そして父になる」が放送されていました。
放送は見逃してしまったのですが、この前ネットで見てみました。
評判通り、とてもいい映画でした。親子って何だろう、と考えさせられます。
(興味のある方は、以下のArteのサイトにまだ映画が公開されているので、ぜひ見てみてください。
※設定アイコンのところで、字幕や言語も選べます。)

cf.
Arte “そして父になる(Tel père, tel fils)” Kore-eda Hirokazu 

海よりもまだ深く

綺麗な色の空。今日は夜になってようやく雨が上がりました。

是枝裕和の「海よりもまだ深く(英題:After thé storm, 仏題:Après la tempête)」がグルノーブルの映画館でも公開されたので、見てきました。
印象的なシーンがたくさんあって、とってもよかった。
あんまり詳細を話すのもあれなので、個人的に印象的なものだけあげると、
カルピス、競輪場、花も実もつかないみかんの木、カレーうどん、たこのすべりだい、宝くじ など。

テーマは割と重いので、暗いだけの映画になってしまいそうですが、
全然そんなことはなく、特に、樹木希林さんの演技には、かなり笑いました。

是枝監督、好きだなぁ。
他の作品も見てみたくなりました。
まずは、「海街Diary」を見てみようかな。

今日は雨でしたが、さっきちょっと走りました。
嵐とか雨とか、嫌いじゃないです。
非日常な感じがいいのかな。

cf.
是枝裕和