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茶道と焼物の講演会

先週は、大学で茶道と焼物の講演会がありました。茶道家で、日仏茶道交流会の代表もつとめていらっしゃる森宗勇(もりそうゆう)さんと、高取焼の16代目の亀井久彰(かめいひさあき)さんによる講演でした。ストの影響で、開始時間が1時間以上遅れてしまって、どうなることやらと思いましたが、なんとか無事終わってよかったです。それにしても、ストライキの影響で交通機関が乱れて、電車が10本に1本だけの運行になったりという状況の中、茶道の道具や、展示用の作品といった大荷物をかかえて、日本からはるばるグルノーブルまで来るのは、本当に大変だったかと思います!

茶道と焼物
茶道のデモンストレーションの前には、抹茶の歴史のお話や、茶道と焼物の切っても切れない関係、代表的な茶人:千利休(せんのりきゅう)、古田織部(ふるたおりべ)、小堀遠州(こぼりえんしゅう)の紹介とそれぞれの茶人のスタイルなどの話がありました。古田織部が千利休の弟子になるまでの小話は特に面白かったです。

織部は利休の弟子になって茶道を学びたいと思っていましたが、利休は弟子をとらない主義だったので、織部はなかなか弟子入りを認めてもらえなくて、断られ続けていました。それでも、弟子になりたい一心で、めげすにも頼み続けたら、ある日、利休が織部に言います。「じゃ、私の庭を掃除することから始めなさい。」と。
織部は、弟子になれる日を夢見て、来る日も来る日もチリ1つ残らないように綺麗に利休の庭を掃除しました。でも、利休はなかなか認めてくれません。というのも、利休の感性は、「わび、さび」で、例えば、花は、咲き誇ってるときだけじゃなくて、枯れて散ったあとも美しいんだ、という美意識だったので。枯れた花も全部綺麗に掃除してしまってはだめだったようです。それで、織部は全てをきっちり綺麗に掃除するのでなく、枯れた花や散っている花をあえてそのままに残しておくようにしました。それで、ようやく弟子入りを認められたとのこと。
利休はいつも、「人と違うことをせよ」と言っていました。織部はその教えを守って、利休のわびさびとは対照的な大胆で自由なスタイルを確立します。織部の後、戦乱の時代が終わり平和な時代になると、上品で綺麗な小堀遠州という茶人が登場します。個人的には、遠州の上品なスタイルより、織部の動的で破調のスタイルに惹かれました。

高取焼
高取焼というのは、初めてみましたが、とっても色が綺麗でした。伝統的な高取焼は、茶色っぽい色が特徴ですが、今回いらした16代目の亀井久彰さんの作品は、ブルーでつやつやしていてとっても綺麗でした!焼く前の段階で、土に鉄分をまぜておくと、こういう綺麗な色が出るそうです。同じ釉薬でも火加減によって色や模様が色々変わるそうです。陶芸って、科学だな~。

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