冬休み (日本でお正月)

冬休みは、約2週間日本で過ごしてきました。
フランス・グルノーブルでの生活も今年で7年目になったので、日本での生活が逆に非日常で、旅行に来ているような気分でした。今回は、一緒にいて楽しいなと思う人、素敵だなと思う人、大事にしたい人などにたくさん会いにいった旅で、終わってみると、2週間があっという間!

こんな感じの2週間でした。

1日目:12月23日(月) 
午後、グルノーブルを出発してバスでリヨンの空港へ。そこからパリ経由で羽田空港まで。

飛行機の中でみたセリーヌ・シアマ(Céline Sciamma)監督の「Portrait de la jeune fille en feu (直訳すると、炎に包まれた若い女性の肖像画)」(2019)という映画がとてもよかったです!この映画は、2019年のカンヌ映画祭で脚本賞を受賞した作品だそう。舞台は18世紀、フランス北西部のブルターニュ地方にある島。1人の女性画家、マリアンヌ(Marianne)が、伯爵夫人の依頼をうけて、これから結婚するという彼女の娘、エロイーズ(Héloïse)の肖像画を描きに来ます。
マリアンヌ役のノエミー・メルランとエロイーズ役のアデル・エネルの演技が素晴らしくて、ぐんぐん引き込まれました。映像もとてもきれいで、そのまま絵にしてもいいような場面がいくつもありました。音楽も映画の雰囲気とよくあっていてよかったです。細かい演出も色々あって、たぶんもう一度みたら、また新たな発見がありそう。ラストのエロイーズの表情が意味深です。断崖絶壁の荒々しい海辺の景色が綺麗で、ブルターニュ地方に旅行したくなりました。きわどい場面もわりとたくさんありましたが、飛行機が乱気流に入ると、ポン!という音がなってアナウンスが入り映像が停止するので、時々そういう場面で映像が停止してしまって、ちょっと恥ずかしかった。。。

cf.
- 予告編 Portrait de la jeune fille en feu (これだけでも映画の雰囲気がよくわかります。)
- セリーヌ・シアマ監督と2人の女優(アデル・エネルとノエミー・メルラン)のインタビューの映像 (3人ともかっこいい!)

2日目:12月24日(火) 
夜19時ごろ羽田空港に到着。着いたら、母が迎えに来てくれていた。「男梅グミ」っていうグミをくれたので食べてみたら美味しくてとまらなくなって、一気にひとふくろ完食。。。HARIBOはあまり好きじゃないけど、日本のグミは、硬さや味付けがほどよい感じで好き。外国人が日本のグミを食べたら、別の感想をもつのかなぁ?

3日目:12月25日(水)
フランスのレースで知り合った友人と都内で再会。少し走ったあと南インドのカレーを食べた。外国で知り合った友人と、こうやって日本でも会えるのは楽しいな。南インドのカレーはわりとサラサラしていて何種類もあってたべごたえあって、パパドはパリパリで美味しくて、ビリヤニ(炊き込みごはん)はスパイスが効いてて、これも美味しかった。


東洋経済の記事によると、日本に南インド料理の店が激増しているそうで、南インド料理が注目された理由としては、ヘルシーで日本人の食感覚にあいやすいことの他に、言葉の力があるそう。つまり、南インド料理の魅力をいち早く言語化した人(料理研究家の渡辺玲さん)の存在が大きいそう。食べなれない料理を食べたとき、もし何の知識もなかったら、はぁ、こんなもんかで終わってしまうけど、あらかじめ『南インドでは医食同源の考えのもと、気候や食べる人の健康状態を鑑みて、食材やスパイス、調理法が選ばれる』という話を聞いていたら、感想は『なんて滋養に富んだ、体に沁み入る料理なのだろう』となるかもしれない、とのこと。
たしかに、物語があると、おぼえやすいし理解も深まって伝えやすいから、広がるのも早いのかも。
私が尊敬している日本語の先生は、授業で『困る』という漢字を導入するとき、「口」の中に「木」が生えました。「困」りましたねぇ。と説明すると、学生がすぐに覚えてくれるのよね(笑)、と言っていました。物語って大事だな。

夜は、妹の家へ。久しぶりに甥っ子ちゃん(2歳11か月)に会う。一応私のこと覚えてくれていたみたいで一安心。サンタさんからストライダー(STRIDER)という自転車みたいな乗り物をもらったらしいが、上手に組み立てられないようで困った様子。。。
よし!ここは私の出番!張り切って組み立ててみたが、説明書が分かりづらくて苦戦。ふと後ろタイヤをみたら、同じような部品で組み立てられていたので、説明書を読むのはあきらめて、後ろのタイヤの部品の感じをみながら前も同じようにやってみたらできた。真似って大事だな。

4日目:12月26日(木)
高校時代からの古い友人と再会。日本酒飲んだり、うどんを食べたり。ごぼうの天ぷらが大きくてびっくり。彼女は2月の終わりにスキーをしにグルノーブルに遊びに来てくれる予定。帰ったら観光案内所に行って、情報あつめてまた連絡しないと!

この前帰国したときは、あまり気にしていなかったけど、移動でJRや地下鉄を利用するとき、駅ごとに振られている、駅のナンバリングがとても気になった。例えば地下鉄の東西線にのっていると、「次は葛西、葛西、お出口は左側です。…」という日本語のアナウンスのあとに、英語で、「the next station is KASAI, T17」と聞こえてきた。Tは東西線のTで17は駅の番号らしい。
そのほか、例えば、丸ノ内線ならMで、丸ノ内線の新高円寺駅はM3、JRの山手線はJYで、山手線の浜松町駅はJY28などなど。私はよく電車を間違えたり乗り過ごしたりするけど、数字がついてると進み具合もわかるから、乗り過ごし防止にもちょっと役立った気がする。電車や地下鉄の乗り換えは、日本人でもなかなか難しいけど、こういう番号があると、きっと外国人とか障害のある人にも便利だろうな。

cf .
- 山手線 内回り JY01東京駅~JY01東京駅 全駅車内放送【ナンバリング放送】

5日目:12月27日(金)
トレラン始めたころからの古い友人と再会。彼は足を痛めて山へ行けないということでご近所をゆるラン。井之頭公園、神田川のあたりは、三鷹に住んでいたころよく走っていたコースなのでなつかしかった。井之頭公園のトラックでは、毎朝ラジオ体操をしているグループがいたけど、今も続けてるのかな?
友人は、秋にオリエンテーリング系のレース、OMM(original mountain marathon)に出たとのこと。すごいなぁ。トレイルのレースに関しては、自分で出るよりも、レースのためのコースの整備担当になっている(笑)とのこと。山の楽しみかたは色々だなぁ。
いせやの焼き鳥はやっぱり美味しかった。

6日目:12月28日(土)
高校時代からの古い友人と再会して、神保町の書店街をぶらぶらとお散歩。このあたりはスキー・スノーボード用具を扱うスポーツ用品店も多くて、そっちのほうにはよく行っていたけど、書店街の方は、今まであんまり注目していなかった。でも来てみると本屋ばかりが密集しているとっても濃いエリアで、特に子どもの本の古本屋「みわ書房」は面白すぎて、かれこれ1時間以上いたかも。古本には、時々持ち主のメモ書きが残っていたりして、持ち主はどんな人だったのかな、と想像しながら読むのも楽しい。英語の古い辞書の、pantという単語の下には、パンツというフリガナと袴というメモ書きが残っていた。ここでは、ジャックプレヴェールの詩のついた絵本と、小学一年生向けの古い本を購入。ジャック・プレヴェールの詩、大好き。

7日目:12月29日(日)
上海にいたころ一緒に走っていたランニングチーム(TARC)の仲間と再会。皇居を少し走ってから忘年会。思えば私の初マラソンは上海マラソンで、それからどんどんランニングにはまっていったなぁ。しみじみ。
皇居にはランナーがたくさんでちょっと異様な光景。私もその一人だけど。みんな本当に走るのが好きなんだなぁ。皇居周辺には、ランステや銭湯もたくさんあるし、日本人って本当に走るのが好きで清潔なんだなぁ。外国にも、ランステみたいな施設ってあるのかな?作ったら日本みたいにはやるのかな?

8日目:12月30日(月)
実家に戻ってのんびり。玄関に飾ってあった蝋梅(ろうばい)の甘い香りがとっても強くて頭がクラクラ。蝋梅は、中国原産のロウバイ科の植物で、梅に似ているので唐梅とも言われているそう。花言葉は「慈愛」。
父と黒柴のリュウくんと一緒に散歩。リュウはもうおじいさんなので、前みたいに元気に走れなくて、散歩の途中もすぐに立ち止まってしまいました。散歩から帰ると、日向で丸くなって寝てました。猫みたい(笑)

9日目:12月31日(火)
みなかみの猿ヶ京温泉でのんびり。だらだら。

10日目:1月1日(水)
家族で初詣に行ったり、初日の出をみたり散歩したりのんびり。だらだら。甘酒が美味しかった。
投げ餅では、父が色紙入りの福餅をゲット。福餅は景品と交換できるんですが、景品はなんと福箒という大きな竹箒でした。大きすぎて車に入れるのが大変!

11日目:1月2日(木)
祖母の命日。朝ランニングしながら、おばあちゃんのことを考えた。とてもやさしくて、お赤飯をつくるのが上手なおばあちゃんだったな。今でも何かに迷ったとき、こんなとき、おばあちゃんならなら何て言うかな?ってよく考える。

午後は、河原で凧あげ。100均(ダイソー)の凧が、いい仕事しました!高く高くあがって、甥っ子ちゃん大喜び!
夕方は、新幹線で兵庫の友人のところへ移動。

12日目:1月3日(金)
朝、友人がおしるこをつくってくれました。美味しい~。
自家製のお餅と、今川焼で有名な「御座候」のあんこを使ったとのこと。あんこ大好きー。
それから、淡路島一周ランのため、おにぎりを3つずつ作って、その他ゆでたまご、魚肉ソーセージなどザックに入れて、明石からフェリーで淡路島へ移動。(実際は、淡路島のサイクリングロード沿いには、コンビニや自販機がたくさんだったので、何も持たなくても大丈夫そうでしたが。でも手作りおにぎりは、コンビニおにぎりより断然美味しかった!)
淡路島へは明石からフェリー(淡路ジェノバライン)が出ていて、簡単に行けました。(13分、530円)

淡路島では、かわいいキャラクター「あわ神」と「あわ姫」をよく目にしました。国生みの神話に出てくる、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)をモチーフにしたキャラクターだとのこと。

13日目:1月4日(土)
予定の時間を大幅にオーバーしたものの、なんとか2人で一緒に、スタート地点の岩屋港まで戻ってこれました。海風をたくさん受けたせいか、その日の夜から喉の調子がおかしくなり、声がでなくなる。。。

14日目:1月5日(日)
フランスのレースで知り合った友人たちと再会。六甲の山を走ったり、銭湯行ったり、カレーを食べたり、お酒を飲んだりして楽しかった。レースやイベントなどいろいろある中、時間をとってくれたお二人に感謝!


六甲の山は、町から近いのに大きな岩がたくさんあって歩くのが面白い。六甲山芦屋のロックガーデンは、日本のロッククライミング発祥の地として知られているそう。なるほどー。芦屋川駅のそばにあるsky high mountain worksというショップは、とても感じがよかった。ショップに行くビルの階段をのぼるときに気になった「風文庫」という看板。気になったので後で調べてみたら同じビルの3Fにある本屋さんのよう。なかなか良さげなので、次行くときがあったら、このお店も見てみよー。

今回行った、クア武庫川という銭湯の露天風呂は、かなり濃厚な温泉らしいです。たしかに茶色いお湯で、とっても体があったまった。お風呂はやっぱり最高~。そのために日本に住みたいと思うぐらい。

15日目:1月6日(月)
年末に連絡があった古い友人と再会。彼女はこの12月に阪急茨木の商店街の中に、e. (イードット)というマフィンとスコーンのお店をオープンしたとのこと。事務的なこともふくめて、全部自分でやるから忙しいけど、あんまり休みたいと思わない、おいしいって言ってもらえると嬉しい!と、とても楽しそうに話していた。いいなぁ。マフィンを食べてみたら、とても美味しかった!


一緒に車で移動している途中、窓から昔よく一緒に行った万博公園や太陽の塔が見えて、とても懐かしかった。

京都国際まんがミュージアムでは、まんがを読んだり紙芝居を見たりしてのんびり。ここには、世界中からオタクが集まってきている感じ(笑) 竹宮惠子さんの「風と木の詩」というまんが、初めて読んでみたけど、衝撃の内容でした。

紙芝居は、猿ヶ京温泉の民話と紙芝居の家でも見たけど、ここで演じられているヤッサン一座の紙芝居はもっとライブ感があってお客さんとの距離が近かった。紙芝居師さんに聞いてみたら、今日は子どものお客さんが多かったから、お話をするというより、なぞなぞをしたり絵をみせる感じのスタイルにした、とのこと。お客さんをみながら、ネタをかえるんだなぁ。
紙芝居は、フランスでも日本で生まれたアートとして徐々に広がってきていてkamishibaiという名で、演じられています。フランス人のやるkamishibaiは、イラストの感じもなんだかおしゃれ。

cf.
Kamishibai, théâtre japonais sur papier
(フランス人のDeaさんと、日本人のNorikoさんの2人が小さな紙芝居[mini kamishibai]を演じています。こういう方法もあるんだな!)
kamishibaï Médiathèque de Malakoff
(フランス人の紙芝居、絵がおしゃれ)
Il était une fois le concours Kamishibaï plurilingue
(紙芝居をつかった楽しい子どもの外国語教育)

私もこの夏は、紙芝居巡業みたいなことができないかな~と、ほんのり考え始めています。

京都の町をあるいていると、co&coというおしゃれな建物が目に入った。なにやら会員制のグローバルラウンジというところらしい。中には、語学学校やコワーキングスペース、自習スペース、書店、留学エージェントなどが入っているらしい。フランスでも、コワーキングスペースはどんどん増えている気がする。会社にしばられない、自由な働きかたがどんどん増えてきているんだなぁ。

牛丼チェーン店のすきやに入ったら、店員さんたちが笑顔でテキパキ、イキイキしていてびっくりした。このお店、いい感じでまわってるなーと伝わってきた。フランスのお店によくいるやる気ない店員さんたちとは大違いだ。。。ふと壁をみると、「ピーク前作業」「手すき作業」という2つの手書きのメモが張ってあって、そこに箇条書きで、かわいいイラストつきで、やるべき作業や、どうしてそれが必要なのかという理由がかいてあった。どんな仕事もよりよくやろうって思うと楽しくなってくるし、こうやって言語化するとみんなの意思を統一できるから、きっと仕事するのもゲームみたいで楽しいんだろうな。

駅に行く途中に見た東本願寺の御影堂門が想像以上にとても大きくて繊細で思わず立ち止まってじっくり見てしまった。昔はお寺や建築にはあまり興味がなかったけど、私もようやくお寺の良さが分かる年になったのか。

16日目:1月7日(火)
フランスのレースで知り合った友人と都内で再会。ちなみに彼は、この冬、雪道で車が横転したのにもめげず、別の車をとりに帰って旅をつづけたという強者。怪我がなくて何よりでしたが、車をレッカー移動するのに8万円かかったとのこと。。。恐ろしや。

午後は、親戚のおばさんの家にご挨拶に行ったり、別の友人に会ったり。彼の娘は、南インドの音楽に夢中で、インドで師匠の家に住みながら音楽をやっていて、日本とインドを行ったり来たりの生活をしているそう。いろんな生き方があるんだな。

それから、お茶の水の折り紙会館に行ってみた。(折り紙好きな友達に、折り紙を買ってきてと頼まれていたので。)工房のある4階に行ってみると、館長の小林さんが廊下でばったり会った。「今日は工房はお休みなんですよー」とのこと。仕方がないので、3階のショップをぶらぶらしていると、館長が下りてきて、折り紙のデモを見せてくれた。おしゃべりしながらも、手は器用に動いていて、綺麗な和紙で、ねずみ、いぬ、にわとりをサササっと作ってしまった。(驚!)
「折り紙はね、いい紙を使わないとだめですよー。適当な紙でも作れるけど、それだと作ったらそれでおしまいでしょ。でも、いい紙で作ったら、飾れますからねー。」と言っていた。確かに、館長さんが作ってくれた作品は綺麗だから飾りになるなぁ。でも、自分で作るときは、失敗するかもだし、最初から高い紙では作れない。ちょっと練習して上手になってから高い紙を使おう。

夜になったら、本当に話すのがつらくなってきた。言いたいことが言えないし、言ったつもりでも全然相手には聞こえてないし。なので、筆談をすることに。
でも、最近スマホやパソコンばかり使ってるから、字がきれいに書けないし、漢字も思い出せなくて大変!書くのがだんだん面倒くさくなってきて、どんどん投げやりな短い文、単語の羅列になっていってく。ま、それはそれでおもしろかった(笑)

夜の飛行機で羽田空港からフランスへ。パリで乗り継ぎ、リヨン空港経由でグルノーブルへ。
飛行機でとなりに座っていた人がとっても太った大きな人で、どんどん私の方にはみ出してきて嫌だった。。。機内食が出てくる前に、菓子パン2つも食べてたし。食べ過ぎー。

機内では、同性愛者やエイズ感染者への不当な扱いに抗議する若者たちの活動を描いた「『BPM ビート・パー・ミニット』(120 battements par minute)」(2017)という映画を見ました。フランスは愛とデモの国だなぁ、と実感。主人公シェン役のナウエル・ペレ・ビスカヤー(Nahuel Pérez Biscayart)は、作品の後半どんどん痩せていってしまって痛々しかった。行きの飛行機に見た映画にも出ていたアデル・エネル(Adèle Haenel)はここでも存在感を放っていた。

cf.
予告編:BPM ビート・パー・ミニット(120 battements par minute)

1月8日(水)
お昼すぎ、ようやくグルノーブルへ到着。

おまけ
1月9日(木)。風邪薬を飲んで、のど飴(はちみつ柚子風味)をたくさんなめてよく寝たおかげか、ようやく普通に声が出るようになりました。あまりにも声が出ないので、このままずっと声が出なかったらどうしよう。。。と不安に襲われたりもしましたが、今は、声の出る幸せをかみしめています。

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