角田光代さんの『坂の途中の家』を読みました。乳幼児虐待事件の裁判をめぐる話で、内容が重くて気持ちのいい話ではなかったですが、読み始めたら止まらなくなり一気に読みました。
声に出してサラっと言ってしまえば、何てことないようなことを、1人で考えているとどんどん被害妄想的になっていく主人公の気持ちは、ネガティブな時の自分と重なる部分もあり、自分のダークな部分を見透かされているようでいやな気持ちになりつつも、次はどうなるの?と先が気になりどんどん読んでしまいました。角田光代さんは、心理描写が本当に上手だなぁ。
角田光代さんが、太宰治の作品の中で一番好きなのは、『女生徒』という作品だそうです。青空文庫に無料で公開されていたので、早速読んでみたら、とっても面白かった!
以下は、冒頭の抜粋。(1文が長い~!)
あさ、眼をさますときの気持は、面白い。かくれんぼのとき、押入れの真っ暗い中に、じっと、しゃがんで隠れていて、突然、でこちゃんに、がらっとをあけられ、日の光がどっと来て、でこちゃんに、「見つけた!」と大声で言われて、まぶしさ、それから、へんな間の悪さ、それから、胸がどきどきして、着物のまえを合せたりして、ちょっと、てれくさく、押入れから出て来て、急にむかむか腹立たしく、あの感じ、いや、ちがう、あの感じでもない、なんだか、もっとやりきれない。…