ジャーナリストでノンフィクション作家の門田隆将さんの本、「死の淵を見た男-吉田昌郎と福島第一原発-」を読みました。2011年3月11日に東日本大震災が起きたとき、福島の原発で起きていたことが書かれている本です。事実に基づいた内容で難しい専門用語はなく、専門家でない私でもとても読みやすく、一気に読んでしまいました。現場の人たちの思いやその背景も丁寧に書かれていて、今まで知らなかったあの時の現場の人たちの気持ちや行動を知ることができました。緊迫した状況の中で、一番大切なものは何なのかを瞬時に判断して、冷静に勇敢に対応した吉田所長にはとても感動しました。そして、吉田所長をはじめ、現場で最後まであきらめずにたたかってくれた人たちに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
あの時、私は福島から大分はなれた東京(新宿)の会社にいたけれど、棚から本がバサバサ落ちたり、コピー機が飛んだりと、今まで経験したことのないくらいの長くて大きな揺れでした。電車がとまっているので何時間も歩いて家に帰ったこと、道路を歩く人の行列がなんだか戦時中みたいで怖いなと感じたこと、その後次々と起こる予想を超える事態に、日本はもうだめになってしまうのかな、普通に息をしたり走ったりするのもできなくなってしまうのかと不安に思ったこと、現実味が持てなくて、自分が映画の中にいるようだなと思ったこと、色々な情報が飛び交って何を信じていいかわからないので何とかして本当のことを知ろうとしたことなど、この本を読みながらあの時の記憶がよみがえってきました。
日本では、3月6日(金)に、この本を原作とした映画「Fukushima50」が公開されたそうです。本を読んだあと、この映画の予告編も見たら、また涙が出そうになりました。
幸いにも、彼らのおかげで最悪の事態は免れたけど、この事故で多くの方が亡くなった。原発の廃炉や汚染水処理はまだまだ終わっていなくて、今後も膨大な時間とお金がかかる。人間は、本当に途方もないものを作ってしまった。。。